創業55年、秘伝の味を伝える煎餅兄弟

笠原製菓は東京都江戸川区にある下町の煎餅工場。
1960年に創業し今年で55年目を迎えた。

煎餅に外国産米は一切使わず、日本米のみを使用。
代々伝わる醤油ダレはどこにも出せない深い味わいをだす。

高級路線のお土産にも使用される味自慢の煎餅工場だ。

兄、笠原健徳(かさはら かつのり)
弟、笠原忠清(かさはら だだきよ)

二人の兄弟が中心となり
兄が「商い」、弟が「味」を切り盛りする。

弟は創業当時からの伝統の味を引き継ぎ守ってきた。
もちろん守るだけではなく、新しい味にも挑戦し笠原製菓ならではの味を創っている。
いわゆる職人だ。

th_弟の写真

一方、兄は変わった経歴だ。

祖父が創業し、父、叔父、兄の順で経営を引き継ぎ四代目。
少年時代に書いた夢の作文のタイトルは「あとつぎ」というほど、工場を継ぐ事をあたりまえだと思っていた。

しかし彼が社会人になる春を前に父が他界。
それまで一緒にやってきた叔父が経営を引き継ぐ事となり、彼は別の道、デザイン系の仕事に進んだ。

彼は広告やWebのデザインの仕事をしながらも
「いずれは、父の残した煎餅屋を何らかの形で手伝いたい。」
という想いがあったという。

叔父の経営になって20年ほどたった2014年夏、その叔父も体調を崩し仕事が続けられなくなった。
さらにこの時、安価な量産品に顧客を取られ経営も良い状態とはいえず、廃業することも検討していたという。

しかし、
「親父が大切にしてた工場を潰したくない。」
そんな思いが湧き上がり、兄は稼業を引き継いだ。

th_兄の写真

「SENBEI BROTHERS」を立ち上げる

そんな異色な経歴の兄だからこそ、出来たプロジェクトがある。

これまで笠原製菓ではOEM販売のみを行い、自社ブランドの商品はなかった。
OEM販売ではとにかくコストを抑えたい企業側から、競合の工場と比較され買い叩かれる。

経営が悪化したのも、その波に巻き込まれたからだ。
価格競争に巻き込まれないためにもオリジナル商品の必要性を感じていた。

また、デザイン関係の仕事をしていた彼は、多くのクライアントに触れる機会があった。
「うまくいっている会社には必ずファンがついている。」
その共通点に気づき、痛感したのが「ブランド力」の大切さだ。

そしてなにより思うことは
「より多くの人に弟の焼いた”本物”のお煎餅を食べてもらいたい。」

それらの考えが交差し、でた結論が
オリジナルブランド「SENBEI BROTHERS」の立ち上げだった。

th_SENBEI BROTHERSの写真

これまで丸のモノが商品、割れているものは2流品としてまとめ売りをしていた。
「でも食べれば同じ味、見せ方の問題では?」
と包装のありかたに着目。

ここでデザイナーとして培ってきた力が活かされた。

茶紙に中身が見えるフィルム、上口には封のできるジップがついた袋。
「SENBEI BROTHERS」のロゴは手押しのスタンプだ。

th_ハンコの写真

そこにザッと煎餅が流し込まれる。丸の物も割れたものもゴチャまぜで。
持っているだけでワクワクするようなパッケージだ。

「もっとカジュアルに本当に美味しい煎餅を食べてもらいたい。」
その想いを形にした。

パンチの効いた「にんにく煎餅」

もちろん新しくなったのは見た目だけではない。
オリジナルブランドだからこそ、中身も自由にチャレンジできるようになった。

象徴的なのが「にんにく煎餅」。

噛んだ瞬間、香ばしいにんにくと焦がした醤油ベースのタレが鼻腔に広がる。
やみつきになる味だ。

th_にんにく煎餅の写真

実はこの「にんにく煎餅」、とある企業からの「パンチの効いたものを」という要望で開発をはじめたものだ。

生のにんにくを醤油味噌ベースのタレに漬け込み、すりおろし煎餅に乗せる。
タレのバランス、漬け込み時間など試行錯誤の連続だった。

製造工程には今までの道具ではうまく行かず、特注の網も用意した。
網に古いにんにくタレが残っていると味が変わってしまうため、メンテナンスをまめにおこなう。

結果、味は納得のいくものを作れた。
依頼した企業も納得の出来だった。

しかし手作業が多く生産ラインにのせる事ができない。

結局、量産してコストを抑えたいと考えている企業と価格面で折り合いがつかず販売を断念した商品だった。

これが「SENBEI BROTHERS」を始めたことによって活かすことが出来た。

「手でやらないとこの味は出ない。」
と彼はいう。
これこそが大手が作れない味、「笠原製菓」最大の魅力だ。

ギャラリー

th_焼きを入れる前の煎餅

焼きを入れる前の煎餅。お餅のようだ。日本米のみで作っている。

th_煎餅を焼く機械

煎餅を焼く機械。火加減が難しい。

弱ければ生焼けになってしまう。
強ければ強いで割れが多く発生してしまう。

気温や湿度にも影響される。

弟が培ってきた長年の経験がものをいう。

th_煎餅と混ぜる機械

ザラメとか七味とか胡椒とか…煎餅と混ぜる機械

th_秘伝のタレ2

こちらが秘伝のタレ。何年も継ぎ足しながら使っている。
同じレシピでも新しい鍋で作ると味に深みがなくなってしまうそうだ。

th_混ぜる機械

醤油ダレを作るときの混ぜる機械。

th_お勧め煎餅

個人的におすすめなのが、このザラメ煎餅。甘さとしょっぱさが絶妙で手が止まらなくなる。
辛いもの好きには七味や黒胡椒がおすすめ。

th_兄弟の写真

終わりに

別れ際に聞いた兄の言葉が印象的だった。

「弟は今まで顔の見えない相手に煎餅を作ってたんだけど、
SENBEI BROTHERS を始めて、直接工場にお客さんが来てくれるようになったんだよね。
弟にお客さんの”おいしい!”って声を直接聞かせれるようになったのが、一番うれしいかな。」

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笠原製菓
東京都江戸川区船堀7-6-16
03-3687-2494

本記事で紹介したSENBEI BROTHERSは1袋300円〜
贈答用にも対応。現在は催事などで不定期に出店も行っている。卸、OEMも可。

笠原製菓さんに直接ご連絡いただけるお問い合わせフォームをご用意しました。お気軽にご利用ください。
気さくな方々なので、きっと色々教えてくれると思います。

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